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第4章 全国キャラバンの報告

 

第1節 全国10ヶ所のイベント

 

当初予定をしていた10ヶ所の会場については、ジョイスティックコントロールカーを実際にジョイスティックを使用して走らせる必要性から各地の自動車教習所が選ばれた。この車の特徴であるジョイスティックを使用しての走行を参加した当事者に見ていただかなければならないからである。一般公道でのジョイスティックによる走行は警察庁とジョイスティックに関する免許の取得問題がクリアになり、スタッフがジョイスティックによる免許を取得しなければならないがキャラバンが開始するまでの短い期間では難しいと思われたし、ジョイスティックコントロールカー自体にナンバーが付くことも不確定だったこと等を考慮するとキャラバンのイベント会場の場所としては自動車教習所は最善の選択であったと思われる。自動車教習所は一般公道と同じように坂道、信号、踏切、クランク等が設置されていて、ジョイスティックの性能が一般公道を走るうえで何ら支障がないことをアピールできるからである。
また、免許を取得する障害当事者側だけでなく免許教習官にも車両のアピールができる効果も念頭にあった。宇都宮では県警の免許課の方に試乗する機会を提供し、スタッフジョイスティックで運転しコースを回った。ジョイスティックコントロールカーが一般車と何ら変わることのない性能を持つことは認識できたと思われる。
会場となった教習所は車椅子利用者をはじめとする当事者にとっては段差や狭いトイレなどバリアが多く存在し設備的には充分とは言えなかった。ごく少数ではあるが中には車椅子用のトイレを完備している自動車教習所も見受けられたが、広いトイレスペースが物置と化しているなどジョイスティックコントロールカーの周知をはかるには、社会的な環境を整備することの必要性を改めて感じた。身体障害者に比較的理解がありキャラバンの会場提供していただけた教習所でこのレベルなのであるから、一般の教習所ではなおさらのことであろう。まして、一般の教習所で身体障害者が教習を受けることについては言うまでもない。そういった社会状況の中でのキャラバンはわれわれや参加者にとっても困難を極めたと言っても過言ではない。
身体障害者の方が会場に来ること自体が大変であった。車椅子に乗っていてジョイスティックコントロールカーを必要としているような重度の障害を持っている方の移動の確保は大きな問題であった。キャラバン事務局ではそこまでのコーディネートは当然できない。地域にあるリフトバスも数が知れているし、公共交通機関は車椅子では利用できなものがほとんどである。キャラバン会場に足を運ぶ準備をするだけでかなりの労力が費やされてしまうのが現状である。言い換えると、何らかの形で移動手段が確保できる当事者はジョイスティックコントロールカーの必要性が低くなるわけで、本当に見ていただきたい移動手段を確保することが困難な当事者は実はキャラバン会場に来れない状況があったことは十分考えられる。

 

 

 

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